済州四・三 72周年大阪慰霊祭

約3万人が亡くなったと言われる済州4・3事件。済州出身者が多く住む大阪では、毎年犠牲者慰霊祭を開催しています。

韓国の歴史教科書で4・3記述が改訂

2020年3月から使用される韓国の高校「韓国史」教科書では、済州4・3関連の記述が大幅に改訂されました。

済州道教育庁の定めた執筆基準が反映され、済州4・3に関しては、8種の教科書から「反乱」という表現がなくなり、統一政府樹立運動の過程で起こった出来事という観点で記述されているそうです。2019年12月17日に済州道教育庁が明らかにしました。

こちらから、教科書の該当ページを見ることができます。

 

教科書のデータをはじめ、済州道教育庁の報道資料全体については、こちらから入手(ダウンロード)できます。

このことについて、4・3犠牲者遺族会、4・3平和財団など4・3関連団体は歓迎の意を表明していますが、右翼勢力からは反発の声も上がっています。

ここでは改訂された記述の内容とその意義について述べた、パク・チヌ盧武鉉財団済州委員会常任代表による「オーマイニュース」への寄稿の日本語訳のほか、済州MBC・JIBSのニュース動画、その他主要なニュース記事へのリンクを紹介します。

パク・チヌ「高校韓国史教科書、「済州4・3」関連内容が大幅に変わる」【日本語訳】(オーマイニュース2019/12/21)

70余年ぶりに「暴動」から「統一政府樹立のための努力」に

2020年高等学校韓国史教科書で、済州4・3に関連した内容が大幅に改善されたことが明らかになった。

済州道教育庁(教育監・李碩文)がさる17日に明らかにした内容によれば、現在公開された8種の高校韓国史教科書において、済州4・3が8・15光復と統一政府樹立過程を理解するうえで、必修として履修しなければならない「学習要素」に反映されたと明らかにした。

公開された高校韓国史教科書8種の出版社は、金星出版社、東亜出版、未来N、VISANG教育、シマス、地学社、天才教育、ヘネムエデュなどである。

この間の済州4・3についての韓国史教科書の内容を見ると、第1次教育課程(1954年)より第5次教育課程(1987年)までは「北韓共産党の暴動」として記述され、第7次教育課程を通して暴動との規定のほかに民間人の犠牲が追加された。

そしてこの間、済州4・3は韓国史教科書において「大韓民国の樹立と朝鮮戦争前史」の部分で記述され、「済州4・3が政府樹立に反対した暴動であるか、左右対立の騒擾事態など」と規定されて、教科書編纂のたびに4・3を歪曲、あるいは貶めているなどの議論が提起され続けてきた。

朴槿惠政権の時には、多くの国民の反対にもかかわらず歴史教科書を国定化として告示、公表した後、出版された韓国史教科書の内容も同様であった。

これについて都冕會教授(大田大学校、VISANG教育「韓国史」代表執筆者)は「1947年3・1節記念大会で、警察の発砲により死傷者が発生した事実こそが蜂起の根源的背景をなしているのに、ここでは蜂起の核心的原因ではないように並列的に叙述しているだけだ。また今まで済州4・3の真相が明かされなかった原因は歴代政権の弾圧と隠蔽のためだが、「南北朝鮮の対峙状況のため」であるかのように歪曲した。」(初・中・高等学校教科書済州4・3関連叙述分析、2017.12、74ページ)と述べた。

今回の高等学校韓国史教科書の変化で、この70余年間歪曲されてきた済州4・3が真実に近づいていくうえで、大きな画期になるだろうと思われる。

この間、4・3関連の遺族会と団体などが持続的に提起してきた歴史教科書の変化は、済州道教育庁(教育監・李碩文)の努力で成し遂げられた。

4・3遺族でもある李碩文教育監は歴史教科書の問題を解決するために、2017年に専門家に「検認定歴史教科書4・3執筆基準開発研究用役」を進めさせ、▲8・15光復以後、自主的民族統一国家の樹立過程における済州4・3の歴史的地位設定、▲済州4・3事件真相報告書の内容を土台に済州4・3の背景と展開過程および意義を客観的に叙述、▲真相究明と関係者の名誉回復過程で成就した和解と相生、平和と人権の価値を高める事例などの、執筆基準案の基本方向を提示した。

済州道教育庁は導き出された内容を、韓国教育課程評価院などを対象として、中・高等学校教育課程「学習要素」に新しい執筆基準案を反映するよう持続的に活動した結果が、反映されたのである。

今回、検定を完了した2020韓国史教科書は発刊され、来年の新学年から使われる。

2003年、参与政府の時に政府が採択した「済州4・3事件真相調査報告書」によれば、4・3は「アメリカ軍事政府の時期である1947年3月1日、警察の発砲事件を起点とし、警察と西北青年団の弾圧に対する抵抗と、南韓だけの選挙と単独政府反対を旗印に、1948年4月3日、南労党済州島武装隊が武装蜂起して以来、1954年9月21日、漢拏山禁足地域が全面開放されるまで、武装隊と討伐隊の間の衝突過程と討伐隊の鎮圧過程で、数多くの住民が犠牲となった事件」と規定している。

そして2003年10月31日、盧武鉉大統領は済州道を訪問して遺族と済州道民を招待し「国政に責任を負っている大統領として、過去の誤った国家公権力の過ちについてお詫び」をし、2006年4月3日、大統領としては初めて慰霊祭に参席して「誇らしい歴史でも、恥ずかしい歴史でも、ありのままに明らかにされなければならない。特に国家権力によって犯された過ちは必ず整理」されなければならないと述べた。

李明博大統領は候補だったころ、済州4・3平和公園の位牌奉安館を訪問して「4・3に対する歴史的評価はきちんとなされており、歴史的評価はどの党が政権の座に就いても変わらない」と述べた。

文在寅大統領は2018年4・3第70周年追念式に参席し「国家権力が加えた暴力の真相をきちんと明らかにして、犠牲となった方々の無念を解き、名誉を回復するように努力」すると述べた。

今回、お披露目された韓国史教科書はこのような歴史の流れを反映したものと解釈される。韓国史教科書は2003年に確定された政府の「済州4・3事件真相調査報告書」の内容を含めて整理し、4・3勃発時期が米軍政という点、直接的な契機が1947年3・1節記念大会で発生した警察の発砲事件という点、多くの済州道民が犠牲となったという点、統一政府樹立のための抗争だったという点、麗順事件とも繋がっていたという点などを具体的に記述している。

東亜出版社が発行した教科書の場合「忘れられない記憶、済州4・3事件」の題目で「済州4・3事件は冷戦と分断、そして弾圧に対する抵抗であり、幾多の民間人が虐殺された悲劇だった」と紹介し、2ページ半を割り当てて「済州4・3事件が起きる」と「3・1節事件」、「済州4・3事件の現場」、「済州4・3事件真相調査」と「大統領謝罪」などの小見出しで詳細に記述し、目を引いた。

「1947年3月1日、済州では3・1節記念行事以後、統一政府樹立要求デモが開かれた。 このデモで、警察がデモを見ていた人々に発砲し、死傷者が発生して、事件収拾の過程で米軍政が済州道住民を弾圧した」と述べ、事件の原因を具体的に記述している。

未来N出版社も「3・1節記念行事が終わって見物していた人々に警察が発砲し、死傷者が発生すると、すぐに住民が抗議デモを繰り広げた。デモ参加者を検挙する過程で数多くの一般人が逮捕されると、住民の反感は高まった。このような雰囲気の中で済州道の左翼勢力と一部住民は、単独選挙阻止と統一政府樹立を掲げて武装蜂起した」と記述している。

出版社シマスも「単独政府樹立をめぐる葛藤が起きる」と「済州4・3事件、済州道の痛みをどう治癒すべきか?」の題目と「済州4・3事件の真相究明と名誉回復」、「写真と統計で見る済州4・3事件」、そして「光復後、政府樹立過程で悲劇を経験する」という小見出しで、2ページにわたって済州4・3と麗順事件を繋げて説明している。

ネムエデュは本文で「1947年3・1運動記念大会で、警察がデモを見ていた群衆に銃を放ち、6人が死亡する出来事が起きた。済州道民はこれに反発して官民ゼネストを起こした。 済州道民が反発するや、米軍政は警察と西北青年団を前面に立て容赦なく鎮圧した」と記述し、済州4・3平和公園の「飛雪」銅像と、映画やマンガの主題である「チスル」など、文化芸術を通じて4・3を説明している。

(株)金星出版社は「政府樹立をめぐる葛藤」という小見出しで「南韓単独選挙をめぐる葛藤が最も熾烈に展開されたところは済州道だった。1947年3・1節記念デモで警察の発砲により何名かが死亡すると、済州道民は大きく反発し、責任者処罰などを要求した。米軍政と右翼団体はデモに武力で対応し、事態はいっそう悪くなった。1948年4月3日、左翼勢力と一部住民は南韓単独選挙反対、米軍撤収を主張して武装蜂起を起こした。軍と警察は右翼団体とともに大規模鎮圧作戦を繰り広げ、その過程で2万名を超える住民が犠牲になった」と記述した。

済州道民の犠牲について「2万名から3万名」の「住民が犠牲となり」、「国家公権力によって犠牲」となったことを、地学社と天才教育、金星出版社、ヘネムエデュ、シマスなどが記述している。

大韓民国政府が真実を究明した報告書である「済州4・3事件真相調査報告書」の発刊と、大統領として初めて慰霊祭に参席しお詫びをした盧武鉉大統領についての内容は、東亜出版、ヘネムエデュ、天才教育、地学社、シマス、金星出版社、VISANGなどが記述している。

金星出版社、東亜出版、未来N、シマス、地学社などの場合、済州4・3を鎮圧するために「派遣される予定だった麗水駐屯国軍部隊が出動命令を拒否して蜂起」したことを記述しており、4月3日を国家追念日として記述した出版社は地学社、東亜出版である。

今回、韓国史教科書執筆基準を作り反映させた李碩文教育監は「3・1運動と臨時政府樹立100周年を迎える年に、済州4・3が正しく描かれた教科書を道民に示せるようになり、非常に意義深い」として「新しい執筆基準が最終的に反映できるよう声援と支援を集めてくれた道民に感謝する。4・3がいっそう詳細で真実に合う形で教科書に載せられるよう、さらに努力する」と述べた。

済州道教育庁とともに教科書に4・3記述運動を進めてきた(社)済州4・3汎国民委員会のチョン・ヨンスン理事長は「済州4・3を綿々と流れる韓国民衆史の視角で眺めることができる端緒を提供した。ここまで来るには本当に多くの方々の献身と犠牲があった。平和と人権の観点で、その時期にあったことが再照明されるよう願いつつ、4・3の悲劇的な面だけでなく、その中で正義と平等の世を早く実現しようと努めた多くの人々の話も広まるように望む」と今後の課題も提示した。

済州4・3犠牲者遺族会(会長・宋承文)は声明を通じて「2020年高等学校韓国史教科書」に済州4・3が正しく収録されたことについて「4・3の歴史と正義を、今やっと正せるようになった」として「韓国史教科書で済州4・3を「暴動」と記述した過誤が、いまやなくなり、理念と思想のくびきを脱して7万余遺族の恨を解くことになった」と歓迎した。

済州4・3犠牲者遺族会はこの間「国家公権力によって無念にも犠牲となった良民は、癒やすことのできない傷を抱いて生きてきた」として「3・1運動と臨時政府樹立100周年を迎えた今年、教科書に済州4・3が明瞭に正しく紹介されたことは、年末年始を控えて遺族に意義深い贈り物を与えてくれた」と評価した。

さる30余年間、4・3運動を行ってきた4・3平和財団の梁祚訓理事長は「ここに来るまで4・3真相調査報告書の確定とその土台の上に、2017年から施行した済州特別自治道教育庁の「検認定歴史教科書4・3執筆基準開発事業」が奏効した」として「新しい青少年世代が正しい教科書を通じて、4・3の真実をきちんと認識する転換の時期が来た」と歓迎の意を表明しながら「単独選挙阻止と統一政府樹立を掲げた武装蜂起と規定したことについて高く評価する」と述べた。

4・3平和財団(理事長・梁祚訓)と済州道教育庁(教育監・李碩文)は、昨年から共同で毎年1千名ずつ10年間、全国の教員1万人を済州に招請して4・3研修を実施しており、韓国史教科書の記述とともに重要な後続の事業を推進している。

1999年に済州4・3事件真相究明および名誉回復に関する特別法が制定され、2003年の「済州4・3事件真相調査報告書」の採択と、国政に責任を負う大統領として初めてお詫びをした盧武鉉大統領は、2006年には大統領として初めて慰霊祭に参席し献花をした。そして2018年、文在寅大統領の70周年追念式への長い旅程で、真実という歴史の最初の一歩を踏み出すことになった。

国史教科書4・3大幅修正【動画】(済州MBCニュース2019/12/17)

4・3教科書歪曲論難に終止符【動画】(JIBSニュース2019/12/17)

高校韓国史教科書、「済州4・3の歴史」をねじれて描き出した(ヘッドライン済州2019/12/17)

教科書に済州4・3が正しく記述される(済州新報2019/12/17)

済州教育庁がつくった「4・3執筆基準」来年韓国史教科書に反映(ハンギョレ2019/12/17)

「済州4・3、暴動ではない」韓国教科書「理念」脱皮(ノーカットニュース2019/12/17)

「来年高校教科書‘済州4・3正しい紹介’歓迎」(メディア済州2019/12/17)

4・3遺族会「4・3、高校教科書収録、7万遺族の恨(ハン)を解く」(済州の声2019/12/18)

民主党済州道党「韓国史教科書に4・3歴史が正しく建てられた」(ヘッドライン済州2019/12/18)

来年度高校教科書、済州4・3について「反乱」を消し「統一政府のための武装蜂起」明示(ペンアンドマイク2019/12/18)

全教組「歴史教科書、済州4・3歴史の執筆基準反映歓迎」(ヘッドライン済州2019/12/19)

ファン・ソヌ「高校韓国史教科書、「済州4・3、統一政府のための武装蜂起」改訂を論難」(教育N市民2020/01/04)

 

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