韓国の行政安全部は2021年10月27日「済州4・3犠牲者補償基準制度化方案」を発表しました。遺族会は、改正4・3特別法(2021年2月国会通過)にもとづき実施された「過去事賠・補償基準制度化に関する研究業務」の結果を受け入れるとしており、遺族会の同意を得た方案です。朝鮮戦争前後の民間人集団犠牲事件に対する初の立法的補償となります。
今回の方案では、死亡・行方不明者の補償額は1人当たり9000万ウォンの均分支給とし、後遺障害・受刑者は、障害の程度や労働力喪失率、受刑・拘禁日数などを考慮して、9000万ウォン以下で委員会が決定する金額となっています。(ただし、犠牲者への均分支給には反対の意見もあります。)
この金額は、医療支援金、犠牲者逸失利益に、精神的損害に対する慰謝料を加えたものです。方案では、改正4・3特別法第16条における「犠牲者に対する慰謝料など特別な支援」の性格を「補償」と解釈しました。
行安部は、個別訴訟で補償を受けたり、遺族がいなかったり、国家有功者として補償を受けた人を除いた10,101人を補償対象とする方針で、全体の補償額は計算上、990億9千万ウォンとなります。これは、韓国政府による過去事関連事件への賠・補償額としては最高となります。支給は5年間で段階的に実施する予定で、2022年度から政府予算案に計上し、補完立法も積極的に推進していくとされています。
なお行安部はグループインタビュー、個別面談、懇談会など16回にわたって遺族の意見を集約したということですが、日本でのヒアリングは実施されなかった模様です。
ここでは、行安部が作成した報道資料の日本語訳と、新聞報道へのリンクを紹介します。
- 報道資料:済州4・3犠牲者補償実施、過去事問題完結のための一歩―補償基準作成研究業務の終了、迅速な制度化のための「済州4・3事件法」改正―(行政安全部2021/10/28朝刊)
- 済州4・3事件犠牲者の補償基準が設けられた…政府「2022年から段階的支給」(京郷新聞2021/10/27)
- 済州4・3事件被害者補償金総9千億ウォン…過去事事件最大(聯合ニュース2021/10/27)
- 4・3犠牲者賠・補償金一人当たり8960万ウォン支給……遺族会「受容」へ筋道(ヘッドライン済州2021/10/08)